DISTANCE   【9】 

DISTANCE         〜 過去という陥穽 【9】   




「御堂、目を開けて俺を見ろよ」
拘束されたままの性器にまた衝撃が加えられることを恐れて、仕方なく瞳を開けた御堂は長沢をきっと睨みつけた。唇を噛み締める御堂を見つめ、長沢はぎらぎらとした目を満足そうに細める。
「いい顔だ、昔からお前のその顔に惚れてた」
「・・・・・・」
「好きだ、御堂、ずっと好きだった」

不意にけたたましく備え付けの電話の音が鳴り響いた。一瞬それに気を取られて手を緩めた長沢の腹を蹴り上げ、御堂はベッドから起き上がる。
「チッ」
舌打ちをした長沢はすぐさま御堂を捕えて、背中から羽交い締めにしようとする。それを何とか抜け出そうとしたその時、御堂の脇腹で長沢の拳が鈍く音を立てた。
「ぐっ・・・」
呼吸ができない程の痛みにぐらりと身体を揺らすと、今度は左のこめかみをしたたかに殴られる。目から火花が散ったような衝撃の後、すぐに次の一発が顎に飛んできた。さすがに自力では立っていられずに、御堂は壁に背を預けたままずるずると崩れ落ちてしまった。
長沢は座り込んだまま動けずにいる御堂の胸倉を掴むと、そのまま床に組み敷いた。
「や・・・め・・ろ」
「喧嘩は苦手か?」
みるみるうちに腫れ上がってきた御堂のこめかみに視線を落としながら長沢が呟く。

顔はやさ男で普段からいつも違う女を連れ回っているような長沢が、何故自分にこんなことをするのか、しかも前から好きだったと長沢は言ってのけたのだ。克哉に対する長沢の敵意も揶揄も、すべてこれが理由だったすれば確かに合点がいく。
御堂はずっと以前から長沢が自分に向ける執拗な視線を無意識に警戒し、避けてきた記憶を思い出していた。
そして長沢の言葉が本当なら、本城の告白は単に賭けに勝つ為だったのだろうか?あの口づけも抱擁も全てが偽りだったと言うのか?
様々な思いが交錯して、御堂は茫然と長沢を見上げた。殴られた痕がずきずきと脈打つように痛み、御堂の思考力を霞で覆うように奪っていく。

「・・・本城は君に・・私を落したと、言ったのか?」
「ああ、そう言った」
「・・・・・・」
「俺がどんなにその時悔しかったかわかるか?・・・お前は俺が何を言っても相手にさえしなかった癖に」
「だから・・・こんなことを・・するのか?」
「ああ、俺がやっと諦めかけたっていうのに、お前は今度はあんな若僧と連んで見せつけてくれたんだからな」
御堂は意識が薄れそうになるのを堪えながら、呻くように話すのがやっとだった。
ベルトを外され前をはだけられて長沢がゆっくりと扱き出すと、その刺激で徐々に御堂の物は熱を持って昂り始めた。
「っ・・やめてくれ・・・ながさっ」
御堂の言葉は長沢のキスに阻まれ、熱い舌が切ない吐息と共に御堂の唇を犯していく。
力無く抗おうとした腕は肘関節で決められて、長沢の指は御堂の双丘を割って克哉しか触れたことのない蕾に強引に分け入っていった。唾液で形だけの濡れを与えられると、硬く屹立した長沢の猛りが御堂の大腿に当たってびくりと跳ねた。
絶望的な状態に半ば朦朧とする意識の中で、御堂は昼間克哉の話を聞かなかったことを後悔していた。

―― 佐伯。

長沢が抗う御堂の膝を割って片足を腕に抱える。
陵辱の瞬間がまもなく訪れるというのに、まるで他人事のように冷め切った心を抱えて、御堂は最早無駄な努力でしかない抵抗を続ける。
記憶の中にあった本城の穏やかな微笑みがバラバラになって崩れていくようなそんな思いと共に、克哉の怒った顔が繰り返し浮かび、御堂の胸は突き刺されるような痛みに苛まれていた。






■ CAUTION
ここからルートが分岐します。お好みのルートをお読みください。
特に試練ルートは性的表現が多く、陵辱ルートの為内容もこのブログの中では過激です。
御堂受け(眼鏡以外)がOKな方のみご覧ください。ご注意の程。

→  DISTANCE 回避ルート : 恋人までの距離【1】へ続きます。

→  DISTANCE 試練ルート : 手折られた羽根【1】へ続きます。

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